研究課題/領域番号 |
04670560
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
西川 俊郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50120019)
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研究分担者 |
安藤 明子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90232090)
川井 三恵 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00234013)
笠島 武 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30045653)
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キーワード | ナトリウム利尿ペプチド / 乳幼児心疾患 / 心筋 / 免疫組織学 / 心筋生検標本 / ミラー切片 |
研究概要 |
平成4年度は、乳幼児心内膜線維弾性症(EFE)、拡張型心筋症(DCM)肥大型心筋症(HCM)および心筋炎の剖検心、ならびにEFE症例の左室心内膜心筋生検標本について、ナトリウム利尿ペプチドの免疫組織学的検討を行った。使用した抗体は、抗ヒトA型/B型ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)抗体であり、免疫染色は酵素抗体法(Avidin-Biotin complex法)により行った。まず剖検例29例のパラフィン包埋切片を用いて、抗ヒトBNP抗体による免疫組織染色を行ったところ、心房では全例にBNP免疫活性陽性顆粒を有する心筋を認めたが、ANPに比べて、その分布密度は少ないと考えられた。心室では、EFE11/15例(73%)、DCM5/7例(71%)、HCM1/4例(25%)、心筋炎3/3例(100%)に明らかなBNP陽性細胞を認めた。陽性細胞は心内膜側と線維化巣周囲に多く認められ、その分布はANPとほぼ同様であった。EFEおよびDCM症例で、ANP・BNP陽性細胞を認めた例は、認められなかった例に比べて、心室容積が有意に大きかった。HCMで陽性を示した1例は、心不全死した症例で、心室の拡張を認めた。つぎに、心筋生検標本について検討を行った。標本はEFE症例の左室生検心筋で、12例全例にBNP陽性細胞が認められ、その分布はANPによる免疫組織染色の結果とほぼ同様であった。さらに、同一組織のミラー切片で、ANP、BNPの免疫染色を行った結果、同一の細胞より各々のペプチドが分泌されていると考えられた。ANPおよびBNP陽性細胞の細胞横径は、陰性細胞にくらべて有意に大きいことがわかった。これらの結果から、心室筋におけるANP・BNPの合成は心室全体にかかる負荷により調節されているだけでなく、個々の心筋細胞の負荷により細胞レベルで調節されている可能性が考えられた。
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