本年度(1992年4月〜1993年3月)の研究実績は、以下のごとくで、主に装置の購入ならびに研究体制の確立を行った。 I]睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者のスクリーニン的な検索 動脈血酸素飽和度(SaO_2)の非侵襲的携帯型24時間連続測定装置(ミノルタ社製パルスオキシメータ;PS-5)を購入し、呼吸ホルター法(呼と循、36巻1988)とともに用いて、外来患者におけるSASのスクリーニング的な検索を行った。本年度、SASが疑われて来院した外来患者は71例(男53、女18、2〜83歳)であった。71例中50例(70%)がSASと診断され、うち31例が精査および治療目的で当病院に入院となった。 II]奇脈の出現頻度とその臨床的意義に関する検討 I]にて選出され、入院精査となった31例のapnea型は、閉塞型29例、中枢型2例であった。閉塞型SAS29例に対して、本研究の主旨を十分に説明し、23例から同意を得た。うち2例は2歳、12歳の小児であったため、除外した。そのため、今回の対象は21例(男20、女1)、年齢15〜72(平均43)歳であった。この21例について、睡眠ポリグラフィ下にSaO_2および非観血的連続血圧測定(オメダ社製フィナプレス)を施行した。 [結果]奇脈は21例中13例(62%)に出現した。奇脈は40歳以下の若年者に多い傾向があった。成人の開塞型SASではほぼ全例に高脂血症を認めた。しかし、奇脈の臨床的意義については、胸腔内圧と密接に関連すること以外、いまだ十分に解明できておらず、更なる研究を要すると思われた。 なお、本研究の要旨の一部は、1)第56回日本循環器学会学術集会(千葉)、2)第32回日本胸部疾患学会総会(札幌)、3)第29回日本臨床生理学会総会(シンポジウム、岐阜)において学会発表した。
|