研究概要 |
我々は22,24KDの高分子型を含む内因性bFGFが心筋細胞において産生され、この内因性bFGFが心筋細胞の成長に関与していることを前年度研究したが、本年度はこの内因性bFGFの心筋細胞における産生がいわゆる心筋肥大誘発物質においても誘発されそのオートクリン的な作用は細胞内での核内移行がそのメカニズムであることを検討した。培養心筋は新生仔ラット心筋を使用しSimpsonらの方法により作成し、無血清の条件下に実験を行なった。Norepinephrine(NE),Phorbol ester(PMA),Angiotensin II(AII)を培養心筋に投与した結果心筋はphenylalanineの取り込みの増加を示し、光顕上も明らかな肥大を示した。bFGFの免疫染色ではNE,AIIの投与において明らかな心筋内bFGFの産生を認め。western bottingにおいてもSHR心筋と同様に22,24Kdの高分子型bFGFを産生していた。しかし、PMA投与では内因性bFGFの産生は認められず心筋内bFGFの産生はPKCを介さないことが示唆された。次にA204cellより抽出した内因性bFGFをHPLCを用いて22,24Kd群と18Kd群に分離抽出しそれぞれ培養心筋に投与した結果、心筋肥大作用はあきらかに高分子型に強く出現した。またそれぞれを個別にI-125にてラベルしたものを投与したautoradiogramでは、高分子型は心筋細胞核への集積像を示した。これらより心筋細胞肥大が内因性bFGFを介するものでありまたその機序としては高分子型bFGFの核内移行が示された。
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