研究概要 |
内因性bFGF(basic fibroblast growth factor)が心筋の成長に関与していることを研究して来たが、今年度はTGFβ1(transforming frowhfactor)および細胞外基質とbFGFの関連を検索した。心筋細胞肥大は培養心筋にNorepinephrine(NE),phorbolester(PMA),Angiotensinll(A ll),および内因性bFGFを2日間投与して作成した。NE,All,PMA,内因性bFGFいずれも培養心筋の肥大を誘発したが、その肥大様式はそれぞれ異なっていた。TGFβ_1染色ではNE,PMA,All,内因性bFGFいずれも細胞質内が顆粒状に染色され,western blottingにおいても250KDの部分に明らかなバンドの増強を認めた。norhtern blottingでも投与12時間後においてmRNAの発現を認めた。細胞外基質(ECM)であるラミニン(LM),ファイブロネクチン(FN)は心筋肥大の程度に比例してNE,All,PMA,内因性bFGFいずれも増加しているのが認められ、心筋肥大に伴い心筋のECMが増加することが示された。β_1Integrin(IN)はNE,All,内因性bFGFでも発現するが、PMAにおいて特に著明に発現していた。以上より心筋肥大を誘発する内因性bFGF、心筋肥大作用にbFGFの関与のあるNE,All刺激において心筋細胞でもTGFβ_1の産生が示された。心筋肥大に伴いFN,LMが増加していたが、細胞接着分子であるINはその肥大作用にbFGFの関与がないPMAにより強く発現した。またPMAにおいてもTGFβ_1の産生を惹起したことは、TGFβ_1の産生が心筋肥大に際し二次的に起きることを示しており、そのECMへの作用などさらに検討を要するが、興味ある所見であった。
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