研究概要 |
レニン・アンジオテンシン系は血圧の調節や維持、水電解質の調節に重要な役割を果している。その中心的役割を担うレニンは主として腎臓で合成、分泌される。腎臓からはプロレニン(不活性型レニン前駆体)と活性型レニンの両者が分泌されるが、プロレニンから活性型レニンへの活性化機構についてはいまだに不明の点が多い。 本研究では真のレニンプロセシング酵素をレニン顆粒より単離・同定しプロレニンのプロセシングの機構を明らかにするために以下の実験を行った。 (1)真のプロレニンプロセシング酵素であることを確認するためにはプロレニンの純品を基質として用いる必要があり、ヒトプロレニンプラスミド供与を受け、COS細胞に発現させ、培養上清中にプロセシングを受けないプロレニンが分泌されることを確認した。 (2)タン白前駆体プロセシング酵素furin,PC1,PC2,PC3,Kex2プロテアーゼはいづれもその構造中に共通ドメインとしてSubtilisin様配列を有するためSubtilisinBPNをプロレニンに作用させ活性化を確認した。 (3)COS細胞を用いヒトープロレニングを^<35>Sメチオニンを含む培地中で発現させ^<35>Sで標識したプロレニンを得、イヌの腎臓皮質レニン顆粒と作用させSDS電気泳動法により分子量の変化をみることによりプロセシングを確認することができた。 (4)COS細胞に野生型および変異型プロレニンと哺乳動物のタン白前駆体プロセシング酵素furinを共発現させ、プロレニンのプロセシングが生ずるか否かを調べたところ、変異型プロレニンではfurinにより離断されるアミノ酸塩基対の4個N末端側のアミノを置換することにより、プロセシングが生ずることを確認した。
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