研究概要 |
プロレニンはレニン顆粒膜に局在する酵素により、レニン顆粒内で活性化される可能性を強く示唆する結果をヒト羊水プロレニンを用い報告した。今回レニンの活性化の解析を、分子レベルで試みるため、ヒトのレコンビナントレニンを基質としてレニン顆粒分画がプロセシングするか否かを検討した。ヒトの放射標識された[35S]-プロレニンはプロレニンcDNAを[35S]-メチオニン存在下にCOS細胞に発現させたものを基質としてイヌ・レニン顆粒成分と3時間インキュベートしSDS存在下に電気泳動を行ない分子量を算定し、その変化を調べた。プロレニンは電気泳動上、分子量43K(プロレニン)に単一バンドとして出現した。一方トリプシン処理したものでは分子量約43,000(プロレニン)と約38K(活性型レニン)に2本のバンドを得た。レニン顆粒成分とインキュベートしたものでは分子量、約43K(プロレニン)と約38K(活性型レニン)の2本のバンドが得られた。この結果はヒトプロレニンを用いてレニンがレニン顆粒成分によりプロセシングされることを示唆する。次に酵素阻害薬の影響も検討した。EDTA,ベンザミジン,PMSF,soybean trypsin inhibitorはプロセシングは抑制せず、N-エチルマレイミド,E-64,ロイペプチンに部分阻害された。このプロセシングをする酵素はNEM,E-64,Leup eptinなどにより抑制されることからシステインプロテアーゼと考えられる。蔗糖密度勾配法で得たリソゾームを豊富に含む上清分画や1.2M分画を用いプロレニンプロセシング酵素の細胞内局在を検討したが明らかなプロセシングはみられなかった。レニン顆粒よりプロレニンプロセシング酵素をアフィニティークロマトグラフィーにより分画を試みたが、クロマトグラフィーにより酵素の失活がみられ性状の同定にまでいたらなかった。
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