EDTA添加全血検体を用いた、好酸球表面抗原の解析を試みた。全血検体をPBSにて洗浄、血漿成分を除去した後に、FITC標識抗CD16抗体ならびにPE標識抗体を用いて二重染色を施行、フロー・サイトメトリーによる解析を行なった。白血球のうち、顆粒球分画を選択、CD16陰性領域に含まれる好酸球表面のCD11bならびにCD69抗原発現を、PE標識抗体を用いて検討した。試験管内での検討では、無刺激状態で好酸球表面にCD69抗原は殆んど発現せず、IL3、IL5、GMCSF等のサイトカイン刺激によりその発現が誘導された。またCD11bは無刺激でも弱い発現が観察されるが、同様のサイトカイン添加により、その発現が著明に亢進した。 正常人末梢血中好酸球にはCD69発現は全く認められず、通常のアレルギー疾患患児の末梢血好酸球も殆んどCD69抗原を発現していない。しかし、アレルギー疾患児の鼻汁中好酸球は強くCD69を発現しており.局所でのサイトカインの影響が示唆された。さらに.過好酸球血症患児では、末梢血好酸球の一部がCD69を強く発現しており、血清中IL5やGMCSFの高値も観察された。また、CD69陽性好酸球は、脱顆粒の進行が観察されたり、過分葉が強いなど生体内での活性化が進んでいることが示された。 CD11b抗原は、気管支喘息や、アトピー性皮フ炎等の通常のアトピー性疾患でも、正常対照に比し、明らかにその発現が増強していた。また過好酸球血症例でも、ステロイド治療に伴い好酸球が減少するにつれその発現が正常化する傾向を示した。 以上、好酸球表面抗原の発現は、生体内における好酸球活性化や、サイトカインレベルの指標として有用であり、アレルギー疾患における病態理解の為に、今後さらにその発現の機能的意義つき検索を進める。
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