研究概要 |
CD69抗原発現の誘導を全血法を用いて検討した。IL-3,IL-5ならびにGM-CSFの添加により好酸球表面CD69抗原が1-2時間の内に強く誘導された。IL-1,IL-2,IL-4,IL-6,IL-8あるいはIFN-γにはこのようなCD69発現誘導能は認められなかった。さらに、IL-3,IL-5ならびにGM-CSFにより、CD11b発現の増強も同様の経時的変化で誘導された。 以上の事実より、生体内活性化より好酸球形態のみならず、細胞表面抗原発現の著明な変化が起こることが示された。このような好酸球表面抗原発現の変化は、疾患の種類や好酸球の由来により大きく異なること、過好酸球症候群では末梢血であってもその一部に強いCD69抗原発現が認められることより、生体内で高濃度のサイトカイン刺激により好酸球活性化が起こると、その程度によりCD11bの発現増強、さらにCD69の発現誘導が起こると考えられた。したがって、好酸球形態とともにその表面抗原発現を検討することは、種々の好酸球増多性疾患における好酸球活性化能を有するサイトカイン(IL-3,IL-5,GM-CSFなど)の生体内産生を評価する有用な指標となると考えられた。 新生児期・乳児期のT細胞機能は成人と比較して大きく異なると考えられ、そのような差異はT細胞の抗原反応性やサイトカイン産生能により規定されると考える。またこのようなサイトカイン産生パターンの相違が、この時期におけるアレルギー性疾患の特徴的病態に反映されている可能性がある。今回はスーパー抗原刺激系を用いて、新生児と成人T細胞の抗原刺激による活性化機構の差異を検討した。 成人T細胞に比し、新生児T細胞は著明なスーパー抗原反応性を示し、強い細胞増殖とサイトカイン産生を認めた。このような新生児T細胞の活性化の特徴は、主として継続的なIL-2産生と、スーパー抗原特異的Vβレパートリーの選択的増殖によることが示された。このような差異がどのような機構によりおこるかについて、さらに検討中である。
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