周産期に脳障害をもっていると考えられた症例(未熟児4名、成熟児2名)において画像診断、神経学的検査法および自発運動(general movement)の観察による脳障害の判定3つの方法を比較検討した。general movementの観察による脳障害の判定は従来の神経学的検査法より感受性が高いだけでなく、危険がないためにどのような状態の患者でも行なえ、ビデオ録画することにより何度も繰り返して判定できるという利点をもっている。さらにこの評価法は容易であり、観察者間の一致率も高かった。 画像診断との比較では、general movementによる評価法は画像診断よりも少し感受性は低いが、病変部位との関係も強く、画像診断との併用によってさらに正確な脳障害の部位診断や程度の把握ができると思われる。 今回の研究ではgeneral movementは脳幹部から下位の中枢によって引き起こされる運動であると考えられ、脳幹部より上位の中枢によって色々影響を受けていることが明らかになった。一方、従来の神経学的診断法では正常と判断されるような症例でもgeneral movementの変化は認められ、特にcramped-synchronizedパターンは脳性麻痺との相関が強く示唆された。したがってgeneral movementの評価による脳障害の判定の方が優れていると言える。またgeneral movementの変化は今回のようなパターンだけでなく、いろいろなパターンがあると言われており、経過を追うことでさらにその診断が正確になることも十分に予測される。今後症例を増やして検討したいと考える。更にコンピュータを用いての解析も必要であり、現在検討中である。
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