研究分担者 |
小林 浩司 山梨医科大学, 医学部, 医員
澤登 恵美 山梨医科大学, 医学部, 医員
石原 俊秀 山梨医科大学, 医学部, 医員
東田 耕輔 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60173142)
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研究概要 |
前年度までの本研究でIDDM児の基礎的体力と呼吸循環能をまづ検討し,急性運動負荷における運動能は女児で対照群に比べ若干劣るものの,代謝的な不利益はないことを明らかにした。さらに本年度ではハイキングなどの長時間にわたる忍耐運動においても低血糖以外の代謝的変動は充分に許容できる範囲であると判った。しかし,低血糖に対する予防には運動消費エネルギーの算定が重要であり,その補食量をトレッドミル負荷時の呼気ガス分析とそれに対応する心拍数から求めることとした。各スポーツの実施時に携帯型心拍記録計で心搏数を知ることにより,各自の各種運動強度による消費エネルギーの概算を示しえることができた。 運動の禁忌に関しては2つの検討を加えた。1つは呼吸・循環の対応と腎血行動態にIDDMでの特異な変化があるかの問題である。既に酸素消費量と脈拍数には直線回帰があり従来より指摘のある自律神経の異常は呼吸循環能へ直接影響しないと判ったが,本年度の腎血行動態の検討ではIDDMでは糸球体濾過率の運動時の低下が見られず,またレニン・アルドステロンの低反応とバゾプレッシンの不応性が腎症の合併前に既に認められることが判った。2つめに,早朝の高血糖や量ケトン体の陽性がその日の運動の禁忌になるかについては,我々の導入したIGFBP-1の検討から,夜間の低インスリン血症に起因することが多く,朝食の充分な摂取とインスリンが通常量注射されている場合には増悪の要因にはならないと考えられた。 血糖管理改善等の運動の長期的効果の判定を引き続き検討の必要がある。
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