先天性心疾患の術後症例の水泳中・潜水中の循環動態と出現する不整脈を明らかにするため、52例に水中心電図を記録した。われわれが以前に報告した健康な中学1年生40例の水中心電図の成績と比較検討した。 また同時に、ホルター心電図・トレッドミル負荷試験・顔面浸水法などの陸上でできる検査を施行し、水中での循環動態と不整脈の出現をどこまで予測できるかという点についても検討した。 1.潜水:潜水中の心拍数の減少は健常児と同様のパターンを示したが、心拍数の減少率は健常児の方が大きかった。不整脈の出現率は健常児と差はなかったが、術後例の方がより重症度の高い不整脈が出現した。 2.水泳:水泳中の心拍変化は、トレッドミル負荷試験のDash法に近い変化を示した。不整脈の出現率は術後例の方が有意に高く、重症度も高かった。 3.スクリーニング法:陸上の検査で検出できなかった不整脈が潜水中に3例、水泳中に4例みられたが、重症度は軽いか、または陸上の検査でみられた不整脈と同種の不整脈であり、予測はほぼ可能であった。 不整脈は保有率が高い先天性心疾患術後患児は、水泳中・潜水中でも健常児に比べ重症度の高い不整脈がみられたが、ホルター心電図・トレッドミル負荷試験・顔面浸水法で、その不整脈の出現はほぼ予測可能であり有用なスクリーニング法と思われた。
|