研究課題/領域番号 |
04670597
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大野 耕策 鳥取大学, 医学部, 教授 (70112109)
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研究分担者 |
赤星 進二郎 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (90231810)
難波 栄二 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (40237631)
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キーワード | コレステロール / 細胞内輸送 / ニーマン・ピック病 / 遺伝子クローニング / 薬剤感受性 |
研究概要 |
ニーマン・ピック病C型は神経系と網内系へのコレステロール、スフィンゴミエリンの蓄積による症状を呈する常染色体性劣性遺伝病であるが、その原因は明らかでない.培養細胞では、細胞内コレステロール蓄積、細胞外から取り込んだコレステロールのエステル化障害が特徴とされ、遊離型コレステロールの細胞内転送に欠陥があると考えられている.この疾患に欠損する機能を遺伝子から解析することを目的とし2年間の研究を行った.第1にニーマン・ピック病のモデルマウスと考えられていたスフィンゴミエリノーシスマウスから永遠の寿命を持つ3T3細胞株を樹立し、この細胞株がニーマン・ピック病C型と同じ異常を示すことを明らかにした.第2に患者由来細胞のコレステロール代謝を詳細に検討した結果、内因性のコレステロール合成系が亢進していることを見い出し、種々のコレステロール合成阻害剤に対する感受性を検討した結果、ビタミンD3、メバロチン、フィリピン等に異常感受性を示すことが明らかになった.このことは患者細胞の細胞分裂・生存は内因性のコレステロールに依存していることが示唆され、さらに患者細胞に遺伝子を導入し、正常化した細胞を濃縮することが可能になった.また、モデルマウス細胞株も同様の異常感受性を示した.第3にモデルマウス細胞株にひと染色体1本を導入し、コレステロール蓄積、コレステロールエステル化異常を正常化させる染色体を探した結果、ひと染色体18番であり、しかもその遺伝子座位は、短腕遠位部または長腕遠位部のどちらかに存在することが明らかになった. 以上のことから、ニーマン・ピック病C型の遺伝子単離を多面的にアプローチするのに必要且つ十分な条件を整えることができた.現在遺伝子単離を精力的に試みている.
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