私達は本年度研究計画[1]にのっとり、数人の健常人及びCGD患者より得た末梢血単核球にEBウイルスを感染させ数種のEB-Bリンパ球細胞株を得た。そして得られたEB-Bリンパ球株の活性酸素産生系の量を構成成分であるシトクロームb558に対する特異抗体を用いてフローサイトメトリー法により解析を行った。すると予想された様にCGD患者より樹立したEB-Bリンパ球株においてはシトクロームb558は検出されなかった。ところが意外にもいずれの健常人由来のEB-Bリンパ球株においてシトクロームb558の量が健常人の末梢血Bリンパ球のそれに比べ著しく減少しており、中にはほとんど検出されない株もあった。私達はこの株化によるBリンパ球上の活性酸素産生系の量の減少は細胞のステージの違いすなわち静止相にある末梢血Bリンパ球が株化により増殖相に移行したことによるのではないかと考えた。そこで健常人末梢血より得たBリンパ球をホルボールエステルや抗免疫グロブリン抗体等の刺激剤で刺激し静止相から増殖相へ移行させたときBリンパ球上の活性酸素産生系の量をフローサイトメトリー法により解析を行った。すると静止相から活性化相の中期までは活性酸素産生系の量はほとんど変化はないが活性化相中期からトランスフェリンレセプターが出現する後期にかけてその量は著しく減少し増殖相においても減少したままであった。私達はこのマシナリーの量的変化がなんらかの機能と相関しているのではないかと考え、末梢Bリンパ球初代培養系を用いBリンパ球の活性化相おける細胞反応に焦点を絞り、本年度研究計画[2]に示した様に活性酸素スカベンジャー系の効果を調べる事により活性酸素が拘わっている生理反応を検索中である。
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