研究課題/領域番号 |
04670615
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
一色 玄 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046995)
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研究分担者 |
岡野 善行 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60231213)
田中 あけみ 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30145776)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ガラクトース血症 / ガラクトース・ウリジル・トランスフェラーゼ / 遺伝子発現 / 遺伝子解析 / 遺伝子変異 / 常染色体劣性遺伝 / 先天性代謝異常症 |
研究概要 |
ガラクトース血症1型はガラクトース-1-ホスフェイト・ウリジル・トランスフェラーゼ(GALT)欠損によって発症する先天性代謝異常症で、我々はGALT欠損日本人患者7家系の15対立遺伝子(Duarte型の1対立遺伝子を含む)について遺伝子解析を行った。その結果、R231H変異と318A-Gスプライシング変異をホモ接合体でそれぞれ1家系に、M142V変異を複合ヘテロ接合体で異なる2家系に同定した。いずれの変異も白人種では発見されていない。白人種で発見された遺伝子変異の解析では、白人種で多数を占めるQ188R変異は認められず、N314D変異とR333W変異をそれぞれ1対立遺伝子に認めた。日本人患者で8/15(53%)の対立遺伝子の変異を同定したことになる。いずれの変異も頻度は低く、優位な遺伝子変異を認めず、日本人のガラクトース血症1型の頻度が100万人に1人と非常に少ないことから、日本人種ではfounder effect等は生じていないと考えられる。318A-G/318A-G、R231H/R231H、R333W/?、M142V/?、M142V/?の5人の患者の赤血球内酵素活性は3%以下を示しており、in vitroの蛋白発現試験のGALT活性と相関している。N314Dは蛋白発現試験で正常コントロールに対して130%の酵素活性を示すと報告されており、白人種ではDuarte異例と関連している。赤血球内GALT酵素活性で20%を示し、D/Gタイプと考えられる日本人患者にN314D変異が同定され、N314D変異は白人種と同様に日本人種でもDuarte異型と関連していた。以上のようにガラクトース血症1型では、遺伝型と酵素生化学および臨床型の間に関連が認められた。いずれの遺伝子変異も白人種では発見されていない遺伝子変異であり、ガラクトース血症1型の遺伝子変異は人類が黄色人種と白人種に分かれた後に発生し、保持されていると考えられる。このことは、白人種、黒人種、黄色人種において、Duarte異型が共通の遺伝子変異N314Dを持つこと、すなわちN314D変異が非常に古い時期より人類に共通して存在していたことと対比され興味深い。今後、いまだ分析を終了していない患者についてさらに解析を進める予定である。
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