若年性関節リウマチ(JRA)全身型はときにDICを呈するため血液凝固能亢進状態を解明することはこの病気の治療管理にとって重要と考えられます。組織因子・Vll因子複合体はXa、Vlla、lXaなどの活性型プロテアーゼの作用により組織因子・活性化Vll因子(Vlla)複合体となります。そこで活性化Vll因子(Vlla);Factor Vlla (FVlla)活性と分子マーカーからみたJRAの血液凝固異常について、最新の研究をしました。FVlla活性はやっと測定が可能となった活性型凝固因子で臨床的にはこれから普及すると考えられます。FVllaは血液凝固の初期段階で組織因子と結合して、強力なトロンビン形成を行う凝固因子です。とくに全身型ではDICを合併することもあり血栓止血学的に注目される凝固因子です。各サブタイプにみられる凝固線溶能の差異をFVlla、vWF、D-dimer、TATを測定して検討したところその結果、FVlla、D-dimer、TATは全身型>少関節型>多関節型の順でともに高値でした。vWFは全身型のみ高値でした。この考察として各型とも凝固・線溶能亢進がみられたのですが、全身型では血管内皮障害の影響を受けていることが他型と違う特徴であったこと、しかも、FVllaは各型ともに高値であり、血管内皮障害以外の組織、細胞障害による組織因子出現が影響していることが考えられたことです。全身型がDICを合併しやすい理由は、他2型に比較してより凝固線溶能異常が強く、さらに肝障害、薬剤、感染など修飾因子が加わることで凝固線溶系バランスがくずれるためといえるのです。 私が日本で初めて報告したCINCA症候群について調査したところ非常に稀な疾患ですが、しかし全身症状の強くないものはかなり生命的予後は良好のようです。今後この症候群について日本でも周知するように努力してゆく予定です。
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