1)優性栄養障害型表皮水疱症(DDEB)の本邦における1家系においてVII型コラーゲンDNA連鎖分析を試みた。方法は発病者12人、非発病者10人より得られたDNAについて、RFLP-PCR法で分析し、その結果、最大ロッドスコアは20以上であり、連鎖はほぼ確実と思われた。現在、本邦の他の家系からも検体を蒐集中である。 2)劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)のVII型コラーゲンDNA連鎖分析については、現在検体を蒐集中である。しかし、本邦では家系例そのものが少く、十分な情報量を得ることが難しい状況である。 3)RDEBについて、コラゲナーゼやストロライシンといった細胞外基質蛋白分解酵素の遺伝子発現を検索した。その結果、約半数の症例では発現の上昇がみられた。さらにストロメライシンについて、転写活性の上昇も認められた。このことから、これらの発現上昇は転写レベルでの調節異常であることが示された。 4)VII型コラーゲンの異常を検討する前段階として、正常ヒト表皮角化細胞を用いて発現実験を行った。その結果、表皮角化細胞はVII型コラーゲンのmRNA、蛋白とも微量ながら発現しており、かつその発現は-TGF-βで増強されることがわかった。この結果から、患者におけるVII型コラーゲンの変異検索は表皮細胞を用いることが望ましい と考えられた。
|