研究概要 |
CTCL,ATLの皮膚,末梢血,リンパ節について,病理組織学的,病理組織化学的,免疫組織化学的検索を行い,CTCL腫瘍細胞はCD45RO陽性,LFA-1,VLA4,CD44陽性,L-selectin,CD25,CD45RA陰性のメモリーT細胞であることを報告してきた.末梢血液ATL細胞については従来のナイーブT細胞に近い形質との評価よりも活性型T細胞形質に近い形質と考えられた.即ち,CD25,L-selectin,CD45RA陽性,CD45RO陰性などである.他方皮膚浸潤ATL細胞はCD45RA陰性,CD45RO陽性を示す場合が多いがCD25陽性などメモリーT細胞とは異なる形質を示す.この変化はATL末梢血液細胞由来細胞株(MTY6-10)を,血管内皮細胞,線維芽細胞,角化細胞等および各種サイトカイン(IL-1,IL-2,TNFα,IFNα,IFNγ TGFβ)と混合培養する事によりおき得ることを示した.即ち,血管内皮細胞,線維芽細胞,角化細胞及びIL-1βとの混合培養によりCD45RAの減少,CD45ROの出現,VLA4,LFA-1の発現増強等が認められた.菌状息肉症腫瘍細胞におけるp53癌抑制遺伝子発現について,免疫組織化学的,PCR-SSCP法にて検討しした.菌状息肉症生検皮膚ではp53に対する抗体(DO7)にて陽性に染まる症例があったが,病期,予後とは相関していなかった.また,病理組織像とも一致しなかった.そこで,突然変異を見る為にp53癌抑制遺伝子に対応するプライマーを5組(p53 exon5,6,7,89)をつくり、PCR-SSCP法を行なった.免疫組織化学的には,p53を染色できた症例についても,PCR-SSCP法では点突然変異を検出することはできなかった.従って,p53癌抑制遺伝子の発現は,正常遺伝子の過剰発現と考えられた.
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