われわれはこれまでIgG subclassが類天疱瘡(BP)における発症機構上でどのような役割をしているのかを検討してきた。本年度は次の2点につき検討した。まず第1に血清、水疱液およびDJM-1cell培養液中のinterleukin(IL)-3、IL-4、GM-CSFの濃度につきELISA法にて検討した。その結果、血清中のIL-3量はBP3例中2例で正常コントロールより高値を示した。水疱液中のIL-3量は当測定法の検出限界以下であった。培養上清中のIL-3も検出限界以下であった。IL-4については血清中では正常コントロールと差はなかった。水疱液中では7例中2例で検出可能な濃度を示し、その値は0.6〜0.7pg/mlであった。培養上清中では検出限界以下であった。次にGM-CSFについては血清において6例中5例で20〜55pg/mlであった。正常血清では検出限界以下であった。次に第2にはRicoらの報告した合成epitopeのP1-1、P1-2についてBP IgG subclassの結合力をELISA法で検討した。その結果、P1-2についてはIgG_1では8例中5例、1gG_2では8例中1例、IgG_4では8例中2例が正常コントロールより高い結合性を示した。P1-1についてはIgG_1では10例中2例、IgG_2では10例中3例、IgG_4では10例中1例が正常コントロールより高い値を示した。次に抑制試験をP1-2について施行した。あるIgG subclassを反応させる前に別のIgG Subclassを反応させ、前者のIgG subclassのP1-2に対する結合力が前処理をしない場合と変化するかどうかを検討した。その結果IgG_2とIgG_4を先に反応させておき、次にIgG_1を反応させた場合、先にIgG_2とIgG_4を反応させないときに比較してP1-2に対する結合力が低下した。反応順序を逆にした場合ではこのような抑制現象は認められなかった。今後はレーザー共焦点顕微鏡が納入されたのでレーザー色素を用い、BP IgGが直接表皮細胞と基質の接着を障害するか、BP IgG_1が補体を活性化し、coll lysisを実際におこすかどうかなどを検討したい。
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