研究概要 |
われわれはこれまではIgG subclassを分離精製して類天疱瘡(BP)における発症機構上に各IgG subclassがどのような役割をしているのかを検討してきた。本年度は次の2点につき検討した。まず第1にBP血清およびIgG、subclassが直接作用して水疱を形成する可能性があるかどうかにつき検討した。DJM-1 cellを培養し、confluentになり重層化した時点で培養液中にluciffer yellowを添加した。次にBPおよび正常人血清を添加した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて24,48時間後の培養細胞のX-Z軸断面を観察した。その結果、BP血清添加系でも48時間までにDJM-1 cellとガラス底面の間に解離がみられなかった。第2にはBP IgG subclassが補体を活性化させ、cell lysisをおこすことができるかどうかを検討した。DJM-1 cellを培養し、ある程度colonyを形成した時点で培養液中にFluo3-AMを添加して37℃、1時間incubateした。次に培養液中のBP IgG subclassを添加した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、20秒ごとに9分までCa^<++>イオンの分布を観察した。3分後に補体源として正常人血清を添加した。その結果BPIgG_1 IgG_2およびIgG_4において添加直後に細胞内Ca^<++>濃度の上昇をみたが、正常人血清より分離したIgG_1およびIgG_4でも同様の現象が認められた。次に補体源を添加した場合では、IgG_1において20秒以内に細胞内Ca^<++>濃度がみられる細胞があった。BP IgG_2においては1分後において細胞内Ca^<++>濃度の上昇がみられる細胞があった。BP IgG_4および正常IgG_1,IgG_2では著名な細胞内Ca^<++>上昇はみられなかった。次に補体によるcell lysisをみるためDJM-1 cell培養系にluciffer yellowを添加して、上記のCa^<++>の細胞内流入がある時点でのluciffer yellowの細胞内流入があるのかどうかを観察した。しかしBP IgG subclass添加系でもluciffer yellowの流入はみられなかった。まだ施行した症例数が少ないので、今後症例数を増やして検討してゆきたい。
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