今年度は類天疱瘡(BP)IgG subclassが抗原と結合し、何らかsignal伝達がおこっているかどうか。また第2には補体が活性化されてcell lysisがおこるかどうかを検討した。材料および方法:BPおよび正常人血清よりIgG subclassをHaradaらの方法で分離した。DJM-1 cellを単層のcolonyを形成するまで培養した。Ca^<2+>の変動をみるために、DJM-1 cellをFluo-3/AM添加で培養した。IgG subclassを添加し、その後補体を添加した。Fluo-3の蛍光強度の変化を共焦点レーザー走査顕微鏡にて観察した。次に低Ca培地で培養したDJM-1 cellを用いて上記と同様の実験を行った。また膜電位の変化を知るためにDioc-5を細胞膜に取り込ませて、IgG subclassを添加し、その後に補体を添加しその蛍光強度の変化を観察した。次に補体の関与を検討するためにluciffer yellowを含む培地中でDJM-1 cellをincubateし、IgG subclassを添加、そののちに補体を添加して、luciffer yellowの細胞内への取り込みと、細胞の形態変化を観察した。結果:Fluo-3の蛍光強度の上昇がBP IgG_1添加したときに5例中2例で認められた。BP IgG_2とIgG_4ではその変化は認められなかった。補体添加により5例中3例のBP IgG_1添加系で蛍光強度の上昇が認められた。低Ca培地を用いた場合には7例中2例のBP IgG_1と4例中1例のBP IgG_2を添加したときに蛍光強度の上昇が認められた。膜電位については検討したすべてのBP IgGsubclassでDioc-5の蛍光強度の有意な変化は認められなかった。次にFluo-3の蛍光強度の上昇をもたらすIgG_1を用いてluciffer yellow添加培地におけるDJM-1 cellの形態変化をみたが特にcell lysisをおこすような所見は認められなかった。結論:BP IgG_1は細胞内のCa^<2+>の分布の変化を引きおこし、この変化は膜電位の変化を伴わずにおこる可能性が示唆された。補体に関しては補体添加でCa^<2+>の変動はおこるがcell lysis等の細胞形態の変化は認められなかった。
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