研究概要 |
1.遺伝的多型性を示すHLA-C遺伝子領域の増幅 HLA-C遺伝子領域のα_1-domein(exon2)のアミノ酸番号1〜48の部分(^9Aspを含む領域)をPCR法により増幅することができた。 2.増幅した同領域の塩基配列の検討 ^9Aspを認識できる制限酵素TaqIを用いて,RFLP法により同アミノ酸位置における差異を乾癬患者30例,健康人61例で検討した。その結果,乾癬では19/30例(63.3%),健康人では12/61例(19.7%)で^9Aspが認められた(relative risk=7.05)。^9Aspが認められた症例で乾癬に強く関連するとされるHLA-Cw6,7のいずれかを有していたものは乾癬では16/19例,健康人では12/12例であり,乾癬では必ずしも,^9Aspを認めた症例全例が,HLA-Cw6,7を有していなかった。 3.乾癬家族内発症例における検討 2家系(いずれも親子例)について,上記と同様の検討を行った。家族4例の検討をした家族例(父・娘に乾癬,母・兄は健康)では,いずれにも^9Aspは認められず,HLA-C抗原でもCw6,Cw7は有していなかった。また,家族6例を調査した家族例(母・娘に乾癬,父と3人の兄妹は健康)では,母,娘,3人の兄妹の5例で^9Aspが認められたが,いずれもHLA-Cw6を有していた。 4.乾癬感受性遺伝子の存在とその役割の検討 我々が今までに集積してきた結果,朝比奈ら(1991年)が報告した^<73>Alaとの関連,そして今回の結果を合わせると,乾癬感受性遺伝子の存在が強く示唆された。その位置は,relative riskの検討,YACによるHLA-B,C遺伝子領域の遺伝子地図の検討から,HLA-B,C遺伝子間のC遺伝子近傍に存在する可能性が推定された。しかし,その役割については,家族調査結果からも未だ明らかにできなかった。
|