研究概要 |
神経線維腫症は末梢型(NF1)と中枢型(NF2)に大別されている。NF1は,出生2800人に1人にみられる常染色体優性遺伝性疾患である。本症は皮膚,中枢神経,骨,眼などに多彩な症候がみられ,NF遺伝子は17g11.2に座位し,1990年に単離された。 一方,NF2は両側性聴腫瘍がみられ,常染色体優性遺伝性疾患で,100000に1人の頻度でおこる.NF2関連腫瘍で高頻度に22番染色体の欠損が見られたことより同様の遺伝的連鎖解析からその遺伝子座は22g11.1-22g13.1に座位していることが推定されている。また,新村が初めて報告した神経鞘腫症は皮膚や脊髄に神経鞘腫が多発する疾患で,NF2と同一疾患であると推定されるが症例数が少ないためにその遺伝子座は明らかにされていない. 従って,今回神経鞘腫症の遺伝子解析を22番染色体の各種DNAマーカーを用いて検索した。 〈結果〉 7例の神経鞘腫症患者の腫瘍を,DNAマーカーD22S15で検索したところ2例に対立遺伝子の欠損を認めた.又,Leukemia inhivitory factovgene近傍では3例に欠損を認めた.以上より,神経鞘腫症はNF2と同一のものであり,その遺伝子座位はLeuhemia inhivitory factor geneより数100Kbpセントロメア側に存ると結論できた。
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