研究概要 |
神経線維腫症(neuro f'bromatosis,NF)は臨床的に,また遺伝的に2型に分類されている.NF1は末梢の神経線腫肺,カフェ・オ・レ斑が特徴となる優性遺伝性疾患で,遺伝子は17g11.2に座位し,その蛋白はニューロファイブロミンと命名され,ras遺伝子機能を抑制するGTPase活性を有し,微小管に局在する.一方NF2は両側性聴神経腫瘍,髄膜腫,神経膠腫,神経鞘腫などを合併する優性遺伝性疾患で,遺伝子は22g12に座位し,その蛋白は細胞膜と細胞骨格を連結させるmoesin-eyrin-radixinと相同性がみられ,その頭文字をとってmerlinと呼ばれる.神経鞘腫症は皮膚や背髄などの末梢神経に神経鞘腫が多発する疾患で,たまたま聴神経腫瘍を合併しないか、またはこれから合併する症例を考えられる. 今回聴神経腫瘍を合併しない神経鞘腫症7例についてNF2遺伝子17エクリン中 16エクリンについて解析を行った.方法は患者白血球のDNAを抽出し,各DNA量50mgをPCR法にて増巾し,SSLP法又はdirect segmening法を行った. 結果は7例中2例にgermlineの変異(コドン42,GGG→AGG,コドン343,AAG→ATG)を検出した.従って神経鞘症はNF2と同一疾患であることを明らかにした. なお,解析にあたって患者の承諾を受けてある。
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