研究概要 |
古典的な神経線維腫症1(Neurofibromatosis1,NF1)に対して両側性聴神経腫瘍がみられ、常染色体優性遺伝する疾患を神経線維腫症2(NF2)と呼ばれる。50,000〜100,000に1人の頻度でおこる。NF2遺伝子については、NF2関連腫瘍(髄膜腫、聴神経腫、脊髄根神経線維腫)で高頻度に22番染色体の欠失が見られたことより遺伝的連鎖解析から遺伝子座は22g11.1-22g13.1に座位していると推定され、1993年その遺伝子が二つの施設から単離された。それによるとNF2遺伝子は22g12に座位し、neurofilament heavy-chain gene(NEFH)とleukemiainhibitory factor gene(LIF)の間に存在する。遺伝子産物はMerlinと命名されている。この蛋白は細胞骨格関連蛋白であるmoesin-ezrin-radixinと相同性がみられるがどのような機作により腫瘍が発生するかは明らかにされていない。一方、神経鞘腫瘍は皮膚や脊髄などの末梢神経に神経鞘腫が多発する疾患で、NF2と同一疾患であるかは不明である。従って、我々は聴神経腫瘍を合併しない神経鞘腫症7例の白血球および腫瘍のDNAを抽出し、NF2遺伝子近傍のDNAマーカーを使用し、Southevn法にて解析したところ、7例中3例に対立遺伝子の欠失(LOH)を認め、さらにNF2遺伝子17エクソン中6エクソンについてのDirect seqn-encing 法を行ったところ、3例にgermlineのNF2(遺伝子変異を検出した。従って、神経鞘腫症とNF2は同一疾患であることを明らかにした。
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