研究概要 |
甲状腺腫瘍に於ける201Tl集積と細胞増殖能指標との比較検討については甲状腺腫瘍26症例(乳頭癌14例、髄様癌1例、悪性リンパ腫2例、良性腫瘍9例)と慢性甲状腺炎6例を対象に201Tl静注後early scan,delayed scanを実施し、病巣部とバックグランド領域に関心領域を設定してlesion/back ground ratio(LBR)を求めた。一方、これらの症例にエコー下で針生検を行ない、得られた組織のDNA ploidyとPCNAの発現率をflow cytometryにより検討した。この検討より、甲状腺腫瘍への201Tl集積と細胞増殖能指標とは有意な相関性のある事が認められた。 マウス移植腫瘍の14C-DG集積性の検討と腫瘍の増殖能の評価についてはヒト甲状腺乳頭癌自家樹立培養細胞株AC2を用い14C-DG集積性を検討した。14C-DGによるオートラジオグラフィは14C-DGを腹腔内投与し60分後に屠殺、マクロ及びミクロオートラジオグラフィー法に供し、合せて臨床例と同じ方法で腫瘍のDNA ploidyとPCNAの発現率を検討した。また、AC-2担癌マウスにbromo-deoxy uridine(Brdu)40mg/kgを前投与して60分後に屠殺、腫瘍を摘出して抗Brdu抗体を用いて免疫組織化学染色を行ない、xenograft内のS期細胞の発現について検討した。この検討により、AC2への14C-DG集積を確認した。AC-2は移植個体の内分泌的状態の差によって索状増殖を主体とする場合と濾胞形成を主体に対する場合がある。腫瘍のviableな部分では、14C-DGの集積は索状増殖部と濾胞形成部で差はみられなかった。PCNAの免疫組織化学染色との比較では、PCNAの発現の強い細胞で14C-DGの集積も明らかに強い傾向があった。
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