臨床的検討としては甲状腺腫瘍における^<201>T1の集積と腫瘍増殖能との関係を検討して次の結果を得た。1)針生検で得た新鮮検体を用いたflow cytometry解析から求めたproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現率と^<201>T1の集積とは甲状腺癌の予後因子と密接な関連性がある事が示唆され、これらの指標を評価する事で腫瘍の臨床的挙動の把握や予後の推定が可能になる。2)甲状腺乳頭癌症例で^<201>T1の遅延スキャンの集積比が高値を呈するものは手術後の再発率が有意に高かく、^<201>T1の集積を術後再発の予測の指標として利用可能である。3)再発甲状腺癌症例では^<131>Iの取込みが悪い病巣で^<201>T1の集積は有意に強かった。この事は^<201>T1による再発甲状腺癌の検出率が^<131>Iに勝っているというよりは、^<201>T1の集積が強くなってくると腫瘍の性格がより侵襲的になって^<131>Iを取込みにくくなるものと思われる。そして^<201>T1の集積程度を^<131>I治療の適応判定の指標の一つとして利用できるものと思われる。 以上の結果より^<201>T1の集積は甲状腺腫瘍の増殖能を反映しており、予後因子とも関連性のある事が示唆された。 基礎的検討としては、マウス移植腫瘍の^<14>C-DG集積性の検討と腫瘍の増殖能の評価についてわれわれが新たに樹立したヒト甲状腺乳頭癌自家樹立培養細胞株AC2を用いて検討した。^<14>C-DG腹腔内投与60分後のマクロ及びミクロオートラジオグラフィー法では、培養細胞株AC2への^<14>C-DG集積を確認した。また、臨床例と同じ方法で腫瘍のDNA ploidyとPCNAの発現率を検討した。これらの検討により、viableな腫瘍では^<14>C-DGの集積と腫瘍増殖因子の発現は密接に関連していると考えられた。
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