研究概要 |
^<67>Ga、^<111>Inは悪性腫瘍組織の周辺部の炎症部位に大量に集積するが、^<201>Tl、^<42>K、^<86>Rb、^<134>Csは悪性腫瘍組織内の腫瘍細胞の生育部へ集積し、壊死部および炎症部への集積はほとんどなかった。これとは逆に同じアルカリ金属でも^<22>Naは壊死部に集積し、腫瘍細胞の生育部には集積しなかった。一方、^<170>Tm、^<169>Ybは炎症部にかなり多量に集積したが、^<67>Ga、^<111>Inとはやや異なった集積を示した。一方、^<46>Sc、^<51>Cr、^<95>Zr、^<95>Nb、^<181>Hf、^<182>Taは悪性腫瘍組織の炎症部への集積が極めて高く、腫瘍細胞の生育部および壊死部への集積は非常に少なかった。^<65>Zn、^<103>Pdは腫瘍細胞の生育部に多く集積し、壊死部および炎症部への集積はほとんど認められなかった。 これらのことから、次のことが判明した。 1)悪性腫瘍組織への^<22>Na、^<86>Rb、^<134>Csおよび^<201>Tlの集積に関しては、イオン半径が0.133nmを超え、組織中でイオンとして存在する1価の陽イオンは、生体内でカリウムイオンと類似の挙動をする。カリウムとカリウム類似元素(Tl、Rb、Cs)はNa^+、K^+-ATPase活性が高い生きた腫瘍細胞へ大量に取り込まれる。ナトリウムイオンは主に細胞外液中に存在するために、腫瘍細胞の生育部には集積せず、壊死部に集積する。 2)^<67>Ga、^<111>In、^<169>Yb、^<170>Tmは腫瘍組織中で分子量約10,000の酸性ムコ多糖に結合しており、^<46>Sc、^<51>Cr、^<181>Hf、^<95>Nb、^<182>Ta、^<103>Ruは腫瘍組織中で分子量が40,000を超える酸性ムコ多糖に結合していたが、詳しくは現在研究中である。
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