研究概要 |
動物実験用MRI装置を用いた拡散強調像によるdiffusion,perfusionの検討に際し、今年度はラット脳虚血を対象とした実験を行った。実験方法としては、シリコン円柱による塞栓子を用いてラット局所脳虚血モデルを作製し、急性期(3時間以内)及び慢性期(48時間後)の状態にて拡散強調エコープラナー法、拡散強調T2強調像を撮像し、従来からのT1,T2強調像と比較した。更にエコープラナー法では、連続実験により、x,y,Z各軸方向に対する拡散係数を算出し、虚血巣と正常部位の違いを検討した。結果は以下の通りである。 <結果>1.従来のT1,T2強調像では塞栓後3時間以内では病巣は検出されなかったが、拡散強調像では塞栓後1時間程度で既に病巣の検出が可能であり、虚血性変化の早期検出に有用であると思われた。2.拡散係数については正常深部白質に拡散異方性が認められ、神経線維に平行な方向では垂直な方向よりも拡散が速い事が確められた。一方虚血巣では垂直な方向は変化しないものの、平行な方向では急性期から拡散が低下し、慢性期では垂直な方向とほぼ同一の値を示した。この結果から、虚血により神経線維に沿う軸索流の低下が生じ、最終的に神経線維の完全な壊死に伴い拡散異方性が消失する事が示唆され、細胞障害の程度の評価に役立つものと思われた。 perfusionについては虚血実と正常部位との間で有意な差は検出できず、S/N比の改善あるいはpulse sequenceの改良等グレードアップが必要であると思われた。 なお以上の結果は第11回Souity of Magnetic Rosonance in Medicin(1992,8月.ベルリン)の大会にて報告した。
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