脳血流画像は放射性医薬品を用いるSPECTによって行われてきたが、SPECTでは被曝線量があり、限られた施設内でしか実施できず、また、装置も高価な欠点があった。最近広く臨床に用いられるようになった。MRIでは、Gd-DTPAを静注後に高速撮像を行えば、脳灌流画像を得ることができ、優れた機能情報、血流情報が得られることがわかった。本研究では、脳灌流画像をFISPのパルス系列であるTR50msec、TE30msec、Flip angle 10°を用いて実施し、1画像7秒にて連続10枚から15枚の撮像を行い、Gd-DTPA注入前後(0.15mmol/kg体重)の画像をサブトラクションすることによって、血行動態を観察した。まず、梗塞ないし頸動脈の狭窄を形成した成犬によって撮像を行い、上記の撮像条件で、最もコントラストの高い画像が得られることをつきとめた。各種の頭蓋内疾患に、本法と^<99m>TcHMPAOを使った脳血流SPECTを行い、両者の画像の比較検討を行い、MRIによる脳灌流画像が核医学的検査法に変わり得るか否かを検討した。脳梗塞症例においては、脳梗塞の広がり、部位などに関し、脳灌流画像と放射性核種による脳血流画像は、ほぼ同一の情報を提供した。脳灌流画像においては、血行動態を経時的に観察できる利点があり、静止したイメージによる脳血流画像よりも優れていることがわかった。さらに、脳血流画像では脳腫瘍における血行動態を評価することは不可能であるが、脳灌流画像ではこの点が可能であり、脳腫瘍でも血流があれば陽性像を得ることが可能であった。また、脳灌流画像においては、FLIP FLOP現象、ぜいたく灌流、副行路の形成がよく描出された。要約すると、脳灌流画像によって、脳の機能情報、血流情報が得られ、臨床上有用であったが、今後さらに臨床例を増加させ、発展させる必要があると結論できる。
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