研究課題/領域番号 |
04670686
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
香坂 雅子 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (20183329)
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研究分担者 |
川合 育子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (40152897)
本間 研一 北海道大学, 医学部, 教授 (40113625)
福田 紀子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助手 (20173354)
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キーワード | Biological rhythm / Sleep-wake-rhythm / Slow wave sleep / Sleep structure / Phototherapy / Seasonal change / Women / Menstrual cycle |
研究概要 |
本研究は、冬季に過眠、過食、易疲労感を主症状とする冬季鬱病の発現機序を解明する目的で行われた。通常の鬱病は、早朝覚醒を主徴とする不眠が、特徴的な睡眠障害であるのに較べて、冬季鬱病では日中の眠気、朝の覚醒困難などの覚醒障害が特徴的であり、その生理学的な検討はほとんどなされていない。そこで、この病態の発現機序を解明するひとつの手掛かりとして健常人での基礎的検討を行った。すなわち睡眠構造ならびに生体リズムについて季節による違いを検討した。また、冬季鬱病は性差があり、女性での発症が多いとされていることから、女性を対象に選んだ。 昨年度は女性の睡眠構造が月経周期でどのように変動するかを検討した。今回は、前年度の月経周期の所見を踏まえたうえで、日長時間の最も変化する夏季と冬季において、月経期あるいは卵胞期に終夜睡眠ならびに生体リズムの記録を行った。また、冬季に、5000ルクスの高照度光を照射し、その際の覚醒度、睡眠覚醒リズム、睡眠特性を検討した。 その結果、第1に、夏季と冬季では臥床時間、全睡眠時間、入眠潜時には差が認められず、また中途覚醒、stage1,2あるいはstage REMの出現する割合についても、有意な差は認められなかった。しかし、stage4,stage3+4については2%の危険率で冬季に有意に増加していた。また、有意差はなかったものの、REM潜時が冬季では遅れる傾向が認められた。以前、施行した健常男性の検討では、睡眠構造は季節で変動し、特に深睡眠であるstage4,stage3+4が冬季で有意に減少していた。また、生体リズム、特にメラトニンリズム、体温リズムでは冬季に位相が後退していた。このことから健常人でも性差により冬季における生理学的な変化が異なる可能性が窺われた。 ついで、冬季に施行した夕方の高照度光照射では、就床時刻が遅れる傾向がみられた。また、主観的評価としては、入眠困難、覚醒度の増加ならびに意欲の亢進というような精神機能への変化を呈するものが認められ、健常人においても高照度光が生理学的指標に影響を及ぼすことが示唆された。
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