研究課題/領域番号 |
04670689
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
十束 支朗 山形大学, 医学部, 教授 (80009133)
|
研究分担者 |
篠原 正夫 山形大学, 医学部, 助手 (40187381)
川勝 忍 山形大学, 医学部, 助手 (00211178)
|
キーワード | 加齢 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / セカンドメッセンジャー / イノシトール燐脂質代謝 / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
1.ラットにおけるムスカリン性アセリチルコリン神経伝達機能の変化を検討する目的で、若年ラット(Fischer系7ヵ月齢)及び老齢ラット(同26ヵ月齢以上)において大脳皮質前頭部のカルバコール刺激性イノシトール燐脂質蓄積を検討した。その結果、老齢ラット群でカルバコール刺激イノシトール燐脂質蓄積の低下を示した。これは、老齢ラットでは、後シナプスのムスカリン受容体の数の減少でなくて機能低下(おそらくG蛋白との関係)があることを示唆していると考えられる。 2.ムスカリン受容体(M1)刺激作用があり抗痴呆薬として期待されるピロカルピン誘導体SDZ-ENS163およびSDZ-BOP-086の慢性投与(14日間)で、大脳皮質のムスカリン受容体密度およびイノシトール燐脂質代謝に及ぼす影響について検討した。いずれも、通常のアゴニストと異なり、受容体の減少はおこさずに、イノシトール燐脂質代謝回転を促進させていることが示され、受容体の減少を起こさないレベルで作用していることが確かめられた。これは、治療薬として長期投与を考えたときに好ましい性質ではないかと考えられた。 3.本研究では老化のモデルとして老齢ラットを用いているが、カルバコール刺激イノシトール燐脂質蓄積の結果からみると、若年ラットに比較して、老齢ラットでは個体差が大きい傾向があることがわかった。このことは、ヒトでも老化には個人差が大きいことと考え合わせると意義深いものがあるが、実験条件としては、ばらつきを生じ易い問題がある。いずれにせよ、シナプス後部のムスカリン受容体に関しては数の減少を伴わない機能低下がイノシトール燐脂質代謝の検討からわかったので、現在、マイクロダイアリス法によりシナプス前部のアセチルコリン放出に関する検討を進めている。
|