研究概要 |
平成4年度の研究では大脳皮質初代培養神経細胞がEAAによる細胞死の機序を研究する実験モデルとなりうること、脳可溶性コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)がグルタミン酸による細胞死を防止し、CSPGのコア蛋白によることを明らかにしたが、本年度はCSPGの効果を更に検討し以下の結果を得た。 1、CSPGは培養4,7日目だけでなく10,14日目にもグルタミン酸24時間暴露による神経細胞死を防止し、組織形成後の脳でも急性侵襲から神経細胞を保護している可能性が示唆された。 2、CSPGはグルタミン酸10分間暴露後による遅発性細胞死に対してもNMDA受容体拮抗薬MK-801と同等の防止効果を示し、その効果はAMPA受容体遮断薬NBQXよりも強力であった。 3、アストロサイト上で神経細胞を培養するとグルタミン酸神経毒性が減弱したが、CSPGの防止効果より劣ること、アストロサイト条件培地には防止効果が無いこと、CSPGは^3H-グルタミン酸を吸着しないことから、CSPGの防止効果はアストロサイトの産生する神経栄養因子等の作用増強やグルタミン酸吸着による細胞興奮軽減によるものではないと考えられた。 4、ゲル濾過によりCSPGを二つの分画に分けて遅発性細胞死防止効果を検討した結果250kDおよび220kDのコア蛋白を含む分画で優位に強い防止効果がみられ、これらをコア蛋白にもつCSPGが防止効果に関与していることが示唆された。
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