研究概要 |
1.大脳PSD中に、ミエリン塩基性タンパク質とは異なる分子量17KのCキナーゼ基質を検出した。 中枢神経系PSD中の主要なカルモジュリンキナーゼ基質のうち250K基質は、P400タンパク質ないしその類縁タンパク質であった。200K基質はミオシンとの類似性を示した。 カルモジュリンキナーゼIIalphaサブユニットのMet281からのCys289に相当するペプチドを人工合成し、リン酸化後、HPLCでリン酸化ペプチド(PY-66)を精製し、兎に免疫した。得られた血清から抗非リン酸化ペプチド抗体成分を吸収した後、IgGを調製した。この抗体はin vovo,in vitroで自己リン酸化型カルモジュリンキナーゼIIのみを特異的に認識した。 4.上記抗体を用いてキンドリング成立後のラット脳を染めたところ、海馬の全領域の神経細胞でカルモジュリンキナーゼIIの自己リン酸化が亢進していた。Thr286/287部位の自己リン酸化は酵素をCa2+非依存型に変えるので、キンドリング成立のメカニズムを考える上で興味深い。 5.長期増強成立後海馬の上清中にCa2+非依存性のCキナーゼ活性の上昇を検出した。それと同時に沈さ中のCキナーゼの限定分解の亢進を観察した。また、別のモデル実験でこのcキナーゼの限定分解にカルバインが関係しているらしいことを明らかにした。 6.従来シナプス後肥厚部にカルモジュリンキナーゼIIが多量存在しているといわれてきたが、そうではなく、シナプス後肥厚部(PSD)画分調製の際にカルモジュリンキナーゼIIが変成しPSDに沈着してくることで、身かけ上、PSDに多く存在しているかのように観察された結果であったことを明らかにした。
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