研究課題/領域番号 |
04670713
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
堤 啓 福岡大学, 医学部・精神医学, 助教授 (10090838)
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研究分担者 |
門田 一法 福岡大学, 医学部・精神医学, 講師 (90161140)
小川 厚 福岡大学, 医学部・小児科学, 助手 (80248509)
渡辺 大介 福岡大学, 医学部・衛生学, 助手 (20201197)
満留 昭久 福岡大学, 医学部・小児科学, 教授 (30038749)
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部・産科婦人科教室, 助教授 (30142350)
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キーワード | 母子相互交流 / 周産期 / つわり / 身体言語 / 母性の発達 / 離人症状 / 子育て / 精神科リエゾン・サービス |
研究概要 |
近年の乳幼児研究では、新生児期は母親からの一方的な働きかけだけでなく、赤ん坊からの働きかけも明らかにされ、母子の相互性と情緒発達に関心が向けられてきた。我々の研究はそれをさらに詳しく検討した。母子交流では経産婦・初産婦、母乳の出方による違いの方に、心理面では、産後に抑うつ的になった母乳は、赤ん坊への働きかけが乏しく応じ方も不十分であった。次に赤ん坊側の要因では、乳を強く吸うと、母親はくつろいで授乳していた。妊産婦をサポートする夫や姑との要因では、出産後、夫婦関係が良くなった母親には満足感がみられた。しかし、姑との関係では、うまくいってない母親の方がリラックスしていることが明らかになった。 次に妊婦に伴うつわりついて、妊婦に伴う心身の変化や重要な人物との心理的関係にまつわる不安や葛藤を伝えようとする身体言語として全体的に捉えることが出来ると言うことが示唆された。したがって、つわりの強い妊婦に対しては、つわりの症状を妊婦に伴う当然の身体症状で、しかもつわりの出易い体質であるという単純な理解や説明をするのではなく、周囲の重要な人物との人間関係の状況、欲求挫折に際しての妊婦自身の対応の仕方などにも注目し、必要と思われる家族関係への介入や妊婦へのカウンセリングも考慮しなければならない。その為にもリエゾン・サービスでの精神科医との連携が大切である。 妊婦は女性にとって危機の状態を体験している人である。この状態から母性の発生・発達が進展する。まず、母性の基盤が妊婦前期・後半から中期・後半にかけてできる。その作用因子は他の不定愁訴の軽減とそれに伴い軽減ないし消退する離人症状とそれに関わる心理社会的要因である。このことが母性確立の第一歩になると考えられる。妊産婦はその推移の中で自我変容を克服すう。母性は子育てという絶えず成長し続ける子どもとの相互作用に対応する中で、絶えず新しい資質の獲得が要求される。以上周産期に、妊産婦をめぐり、さまざまな心身の変化が生じ、精神変調も来しやすく、リエゾンによる精神科的介入が重要であることが明らかにされた。
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