研究課題/領域番号 |
04670713
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
堤 啓 福岡大学, 医学部, 助教授 (10090838)
|
研究分担者 |
渡辺 大介 福岡大学, 医学部, 助手 (20201197)
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部, 助教授 (30142350)
満留 昭久 福岡大学, 医学部, 教授 (30038749)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | 妊婦のパーソナリティとつわり / マタニティ・ブルー / 母性発達 / 不定愁訴 / 離人症状 / 心理・社会的条件 / 母親の応答性 / リエイゾンによる精神科的介入 |
研究概要 |
1.妊婦のパーソナリティ分析とつわり発症の関連性について:つわりの強い妊婦に対しては、つわりの症状を妊娠に伴う当然の身体症状で、しかもつわりの出やすい体質であるといった単純な理解や説明をするのではなく、周囲の重要な人物との人間関係の状況、欲求挫折に際しての妊婦自身の対応の仕方などにも注目し、必要と思われる家族関係への介入や妊婦へのカウンセリングも考慮しなければならない。 2.妊産婦の抑うつの心理社会的要因:多くの産婦が産後に軽い抑うつ状態を経験する事が知られており、マタニティブルーと呼ばれている。しかし、その原因についてはまだ確証が得られていない。我々は妊娠中から継断的な調査を行い、抑うつと心理社会的要因との関連を検討した。抑うつは妊娠中が最も高く、産後には減少した。抑うつの程度は、年齢、親との同居の有無、夫との関係などと関連がある事が明らかになった。 3.母性発達の経緯:我々の研究によると、母性の基盤が作られるのは妊娠初期・後半から中期・後半であり、妊娠に伴う不定愁訴や抑うつ状態を克服していく中で、離人症状の消退と伴に母性が発達することが明らかになった。さらに、心理・社会的条件を妊産婦の必要に応じて整えることが母性確立への必須条件と考えられる。 4.産後直後の母子交流に関わる諸要因:妊娠期の身体的、心理的支持が、母子交流には重要である。特に初産婦の精神状態を安定させ、乳児への応答性を高める心理的対応が必要である。特に、産後に抑うつ状態等の精神変調を来した産婦に対しては、リエイゾンによる精神科的介入が重要である。乳児の反応をうまくつかみ、それに応えていける母親の感受性を育てて、より豊かな母子交流がもてるようにするために、妊産婦に多次元的な介入が重要であることが明らかとなった。
|