研究概要 |
平成4年度の灌流肝において得られた結果に基づき、in vivoでの測定用のプローブ及びコイル等の作成を試みた。まずその第一歩として、サーフェイスコイルを用いたin vivoでの測定時に問題となる介在組織の影響を検討した。この検討に関しては、信号強度や、サンプル取扱いの問題からリンを核種として行った。ラット肝を想定したファントムを用い、シム調整によって測定部位の磁場強度の均一性を高めた後に、無機リンを封入した微小サンプル(1.0mm径)を用い、サーフェイスコイル下での信号強度分布を測定した。信号強度別(100,50,0%)に等高線用に信号強度分布図を作成すると、コイル表面から4.0-6.0mmの領域が最高信号強度対して50%以上の信号を与えており、またこの部位はラット肝領域にほぼ対応する深度であった。なおコイル端部近傍では、コイル表面近くまでこの領域が存在するため、体表近傍からの信号が含まれざるを得ないことが確認された。このことからサーフェイスコイル法による測定では、空間的に完全な非測定部位の選択は困難であるが、測定条件の選択によってある程度限局性を持たせることが可能であり、代謝変化の追跡には十分応用可能である。リンによるin vivo測定おこなった後に、FU130mg/kgを経静脈的に投与し、肝における代謝過程を観察した。S/N比の問題はあるが、投与後30分では5FUの大きなピーク及びその代謝産物であるFUPA、FBALの小さなピークが見られるが、120分後には、5FUピークはほとんど消失し、Fnuct及びFUPA、FBALが増加した。この^<19>F MRスペクトルの変化は5FUの代謝過程を反映していた。以上より^<31>Pと^<19>Fを組み合わせることによって抗癌剤の代謝過程と抗癌剤が腫瘍あるいは肝臓のエネルギー代謝に及ぼす影響をモニターできることが明らかとなった。
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