研究概要 |
1.上皮増殖因子(EGF)の抗腫瘍効果について ヌードマウス移植ヒト乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌に対して、濃度依存性の抗腫瘍効果がEGFに認められた。特に高濃度EGFの抗腫瘍効果は著しく、臨床応用が可能と考えられる。EGF投与による副作用はヌードマウスでは、特に問題になるものはなかった。 2(1).EGFの抗腫瘍効果の作用機序に関する研究。 ヌードマウス移植MKN-28、ヒト胃癌を対象しとた研究の結果、EGFレセプターの増加と、レセプターのEGFに対する親和性の著しい低下が認められた。さらに、細胞内cAMPの合成阻害も認められ、レセプターを介した、Signal Transductionの抑制と、それによる、cAMPの合成阻害が主な原因であると判明した。 2(2).EGFの抗腫瘍効果の作用機序に関する研究:遺伝子レベルの変化について。 ヌードマウス移植ヒト乳癌,食道癌を対象にした研究では、高濃度EGFは、c-fos及びc-H-rasの2種類の癌遺伝子の発現を抑制する事を発見した。又P^<53>癌抑制遺伝子のP^<53>のAccumulationを高濃度EGFが誘導する事が明らかとなり、P^<53>の細胞増殖抑制の役割が注目される。 3.EGFのSignal Transduction(情報伝達系)に関する研究。 EGFのSignal Pathwayとして、cAMP依存性のc-H-rasのみならず、PKCのPathwayによるc-fosの発現誘導及び抑制が確認された。又、P^<53>癌抑制遺伝子が、EGFの情報伝達系に含まれる事も明らかとなった。
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