ヌードマウス移植ヒト腫瘍、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌について、高濃度EGFの抗腫瘍効果が濃度依存性に認められた。 この作用機序をmolecular Cell Biologyのレべルで研究した結果、以下のいくつかの発見がありその作用機序の概略が判明した。又これらの研究を通して、EGFの新しい情報伝達系を発見した。 発見その1:大量のFGF投与により細胞はEGFレセプターを大量生産するが、EGFを結合する機能は著しく低下している事。 発見その2:その結果、細胞内cAMPの合成低下が生じる事。 発見その3:細胞内cAMPに反応性にP^<53>遺伝子の発現が増加する事。 発見その4:wild type P^<53>はanti-rasとして作用しras及びfos遺伝子の発現も低下する事。 発見その5:P^<53> geneのcodon181、c→Tへの変異はwild type phenotypeである事。 発見その6:高濃度EGFはP^<53>依存性のApoptosisを誘導する事。 発見その7:TGF-eはP^<53>を通してCell Cycleを調整する事。 以上の事がらから、EGFの抗腫瘍効果のメカニズムは以下の如くなる。 EGFレセプターの機能万全→cAMP合成阻害→P^<53>発現増加→(1)P^<53>依存性 Apoptosis→(2)ras及びfos発現低下。 又、EGFの新しいSignal TransductionとしてEGF→cAMP→P^<53>→BAX.or bcl-2等Apoptosis関連遺伝子、が見い出された。
|