研究課題/領域番号 |
04670731
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 寿記 大阪大学, 医学部, 助手 (20231152)
|
研究分担者 |
山本 重孝 大阪医療刑務所病院, 研究員
宮田 正彦 大阪大学, 医学部, 講師 (10028631)
|
キーワード | ラット膵移植 / クラスIMHC相違モデル / 限界希釈法(LDA) / 補体依存性細胞傷害能 / IgG,IgM抗体 / FACS / 細胞性免疫 / 液性免疫 |
研究概要 |
クラスI MHC抗原相違のコンジェニックPVG.R1(RT1.A^aB^cD^cC^c)ラットからPVG(RT1.A^cB^cD^cC^c)ラットへの組合せは、いわゆるlow responder combinationと呼ばれ、肝・腎・心グラフトは永久生着することが知られている。我々は最近、この組合せを用いて、膵移植を行ったところ、移植膵は平均20.7±1.5日で拒絶された。そこで、拒絶の起こらない心移植と比較検討することにより、移植膵の拒絶反応の特異性について、免疫学的解析を行った。MLRでは移植後、膵を移植されたレシピエントの脾細胞のドナーに対する免疫応答は心移植の場合に比して、増強がみられた。ドナー抗原に向かう免疫担当細胞である細胞傷害性T細胞及びIL-2産生ヘルパーT細胞の前駆細胞頻度(fTcp及びThp)を求める限界希釈法によりさらに解析した。膵移植後及び心移植後のfTcpはそれぞれ、1/1726-1/2222及び1/1440-1/2073と正常PVGのそれ(1/2538-1/2826)に比して、高値となった。一方、fThpは正常PVGでは、1/23290-1/53667と極めて低値を示したが、心移植後には1/8210-31714と上昇傾向を示し、膵移植後ではさらに1/1879-1/9684と高値を示した。また、膵移植後のレシピエント血清中には、CDCにより強い細胞傷害性抗体が検出された。こうした抗体は、FACSによれば移植後早期にはIgM抗体であり、後にIgG抗体であり、いずれもクラスI MHC抗原に向かっていると考えられた。以上より、移植膵の拒絶には細胞性免疫のみならず液性免疫の関与が強く示唆され、免疫学的寛容誘導には両者の免疫能を制御できる方法を開発しなければならないと考えられた。
|