研究概要 |
1.臨床分離材料からのMRSAの迅速な同定 MRSA耐性遺伝子であるmec Aはcoagulase negative staphylococciにもこれを有するものがあり、当科の最近の臨床分離MRSAはTSST-1,enterotoxinA,Cを産生するものがほとんどであるため、臨床分離材料より直接DNAを採取しこのmec A遺伝子とTSST-1遺伝子(tst)についてPCRを行いその臨床応用の可能性、感度などについて検討した。PCR用のprimerは昨年度enterotoxin型別の検索の際に作製したものを用い、菌液ないし臨床分離検体(喀痰.胃液)をアクロモペプチダーゼで消化後アルカリにてDNAを抽出した。DNA抽出液の原液と100倍希釈液をテンプレートとし、これをPCRにて45cycle増幅し泳動後特異的バンドを検索した。その結果TSST-1,enterotoxinA,C産生臨床分離MRSAの培養菌液を用いた検討ではmec AのPCRでの検出感度は約1200CFUでtstは約120CFUであった。喀痰の検討ではmec Aの検出感度は約800CFUでtstは約800CFUであった。胃液ではmec Aの検出感度は約1900CFUでtstは約190CFUであった。臨床分離検体ではDNA抽出液の原液をテンプレートとした場合はPCRがかかりにくくDNA抽出液の100倍希釈液をテンプレートとした場合に良好な結果が得られた。 2.TSST-1毒素のサイトカイン産生に関する検討 TSST-1,エンドトキシンを各々人血液より分離した単球(Mo),Mo+Tcell,Mo+IL-2,Mo+INFγ,単核球,Tcellの培養系に加え,各々のTNFα産生をElisa kitにて測定したが,明かな差を証明することはできなかった。
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