1.チエルノブイリ原発事故後の小児甲状腺癌発生:(1)1990年以後の小児甲状腺癌発生の増加は著しいが、病理組織的に、低分化型病巣の混在が目だつ(72.2%)。(2)未分化癌はキエフの男性1990年、19才で死亡の1例が20才以下の者にみつかったが、小児にはみつからなかった。(3)現地から持ち帰ったパラフイン包埋組織標本を用いて、RET癌遺伝子を調べた所、7例中の4例で活性化が認められた。(4)同様に癌抑制遺伝子を調べたところp53は12例中の1例でヘテロ接合性の消失がみられ、これは低分化癌病巣部で観察された。 2.広島大学に保存されている平均70才に近い甲状腺癌のパラフイン包埋標本を用いて核DNAパターンを調べたところ、未分化癌の6例中4例、66.6%にaneuploidyが認められた。 3.ひき続き実施中の頸部局所動注化学療法(これまで7例)では、はっきりした延命効果は、これまでのところみられていない。
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