研究概要 |
穿刺吸引細胞の初代培養による細胞増殖は個体差が甚だしく充分な検体を得る程の培養系の安定は得られていない。したがって、細胞診と癌遺伝子診断を同時に行う為には二回以上の穿刺を要することが多い。更に初代培養系の確立に検討を加えたい。平成4年度においては、手術時に摘出した癌組織の凍結標本を用いて、癌関連遺伝子産物であるC-erbB2,P53等の発現と、更にHSP70,EGFRの組織発現の検索を免疫染色法を用いることにより癌の悪性化に関わるこれらの発現とその予後について検討した。結果として、C-erbB2,P53の予後との関連性,また更にHSP70の乳癌の悪性度との関連性が示唆されている(論文投稿中)。平成5年度においては、P53に着目して、良性群及び悪性群それぞれ20症例よりの穿刺吸引細胞よりDNAを抽出,PCR法にて増幅,SSCP解析を用いて遺伝子変更,point mutation,の検出を行っている。良性群より悪性群にpoint mutation率は有意に高く出現する傾向を認めているが、同時に、細胞診にての診断上の、境界領域病変にての出現もfalse negative群で高く見られており、平成6年度には症例を更に集積して検討を加える予定である。
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