1.移植膵の糖尿病発症率: 糖尿病未発症DR-BBラット(RT1^u)をdonor、糖尿病発症DP-BBラット(RT1^u)をrecipientとする膵移植において、SPiF環境下では7例中4例(57%)と高率に再発症が認められた。また、WF(RT1^u)をdonorとした移植では4例中2例(50%)であり、再発症においてMHCの関与が示唆された。 2.移植後のrecipientの免疫能の検討: 膵移植ラット、非移植ラット(コントロール)の脾T細胞を用いて、MHCの異なるBUF抗原に対する免疫応答(MLR、限界希釈法による細胞傷害性T前駆細胞頻度f(Tcp)、1L-2産生helperT前駆細胞頻度f(Thp)を測定した。その結果、1)MLRにて膵移植のアロ抗原に対する免疫応答はコントロールに比し著明に増強していた。2)限界希釈法では膵移植のf(Tcp)、f(Thp)はコントロールに比し高値を示した。このことからDR-BBをdonorとする膵移植を行うことにより、recipientであるDR-BBのアロ抗原に対する免疫能の回復が認められた。 3.移植膵の糖尿病再発症の阻止方法として:抗接着分子に対するモノクロナール抗体、anti-1CAM-1 moAb、anti-LFA-1 moAbを1mg/Kg/ラットを移植1週より2週間、腹腔内投与では3匹中、現在再発症がみられていないが、更なる検討を要する。
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