研究課題/領域番号 |
04670747
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
前田 平生 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (30134597)
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研究分担者 |
人見 祐子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80181105)
村田 宣夫 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10200297)
遠山 博 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00008278)
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キーワード | 消化器外科 / 輸血副作用 / 自己血輸血 / エリスロポエチン |
研究概要 |
消化器外科領域における輸血副作用・合併症を予防するために遺伝子組換え型ヒトエリスロポエチン(EPO)の投与あるいは術前貯血自己血輸血を実施し、同種血輸血の削減効果を検討した。また、そのための基礎データとして、消化器外科癌患者での貧血と血中エリスロポエチン濃度を測定した。対象は、胃癌、結腸癌など消化器癌患者30例であった。このうち、対照となるEPO非投与群は18例であり、EPO3000単位を術前1週間前から術後2週間まで投与したEPO低用量群は4例、EPO6000単位を同期間投与した高用量群は8例であった。対照群は、術前平均Hb値は11.7±1.3g/dlであり、出血量は600±427ml、同種血輸血例は9例(50.0%)で、その平均輸血量は427mlであった。低用量群は、EPO投与前Hb値は11.5±1.1g/dlで、投与1週後の術前平均Hb値は12.4±1.4g/dlであり、平均出血量は483±278ml、同種血輸血例は0例であった。高用量群は、EPO投与前Hb値は10.3±1.9g/dlで、投与1週後の術前平均Hb値は11.4±1.7g/dlであり、平均出血量は498±212ml、同種血輸血例は1例(12.5%)で、平均輸血量は50mlであった。また、対象例について術前Hb値と血中EPO濃度を測定したところ、鉄欠乏性貧血患者に比較して貧血の程度の割に血中EPO濃度が低いことも判明した。以上から、消化器癌患者では、貧血の割に内因性EPO濃度が低く、EPO投与により貧血が改善され、周術期での同種血輸血の削減効果が期待された。自己血輸血との併用例は現在進行中であり、平成5年度に合わせて報告する。
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