研究概要 |
本研究の目的は移植donor腎を摘出し、移植するまでの保存期間中にrecipientへの有効な免疫学的処理を行ない、術後は有効最小必要量の免疫抑制剤の併用により、免疫寛容へと誘導させる方法を開発することである。そこで我々がイヌで免疫寛容導入に成功している術前recipientへのリンパ組織照射(小量、短期間)、腎移植時の腎donorからの〓〓移植、術後小量の短期間のFK506の投与法および自家腎移植で100%成功している3日間の保存法を同種腎移植に併用することを試みてきた。 【.encircled1.】beagle犬および本学の自家繁殖犬の非血縁の組み合わせをpairとし、我々が平成4年度に開発したDLA-DNA typingをretro-spectiveに行ない、組織適合度との関わりを解析した。 【.encircled2.】同種donor移植腎の3日間、4℃単純冷却保存法の移植の無処置群では、新鮮同金種腎移植と同等に約1週間前後で拒絶反応が発現し、組織学的にも拒絶像が判定可能であった。これには温阻血時間(血流再開まで)の約60分間にいかにして保存腎を冷却保護できるかが鍵であった。血管吻合中の保存腎の周囲を冷却する工夫が組織障害を少なく、限りなく新鮮腎移植と同等の初期の機能発現を得ることにつながった。この際recipientの自己腎は温存した。 【.encircled3.】さらに術後FK506を自己健労腎を摘出するまで(平均26〓10.2日)約2週間0.16mg/kg/日投与し、以後0.08mg/kg/日に半減し、自己腎摘出後は、再に半減し、0.04mg/kg/日とし、90日間で完全にとゅうしする方法で検討している。FKの増減は、一般状態および血中濃度を示標にした。現在まで(1994年、2月末)、5例が検索対象で、>130日,>45日,41日(自己腎摘後の腸重積で死亡、腎機能は良好)、38日(自己腎摘出後の腸重積で死亡、腎機能は良好)、39日間の生着延長効果を得ている。自己腎摘出時に発症する腸重積の防止のため、現在は背部より後腹膜的に行ない、良好な経過を得ている。組織学的検索でも本法による同種保存腎移植でも十分に拒絶反応の判定が可能であった。 【.encircled4.】ここで【.encircled2.】,【.encircled3.】の結果をふまえて術前recipientのリンパ組織照射、およびdonorの保存骨髄の移入を保存腎移植と同時に行ない、【.encircled2.】,【.encircled3.】の結果と比較検討する予定である。
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