研究概要 |
本研究の目的は、移植donar腎を摘出し移植するまで意図的に3日間冷却保存し、その間recipientに計画的に免疫抑制法を行ない、肝移植時に寛容源として同時に採取して保存したdonarの腎臓細胞を併用移植し、術後に少量のFK506を投与して免疫寛容を誘導することにある。 1.実験動物イヌの組織適合度の統一:国際的に公認された9つのDtypeの特異性を識別する11種のSSOprobeを作製しPCR-SSO法により.DRB1遺伝子型不適合度1のpairsを用いることができた。 2.再潅流障害の防止:保存腎の移植時、血管吻合に要する温阻血時に従来の単に冷生食水を浸したガ-ゼ等による保護のみでは、再潅流障害が激しく.同種移植拒絶反応の判定が不可能であり、免疫抑制を併用しても硬化がなかった。ここで、温阻血時に移植腎をできるだけ冷却保存時の状態に近づけるために移植腎と接する空間をゴム製の密着型軟性冷却装置にて冷却する方法を考案し、極めて有効であった。 3.FK506の投与法の設定:FK506は術後2週間0.16mg/kg/日、2週後4週まで半減して、0.08mg/kg/日、以降、術後90日間0.04mg/kg/日の連続筋注投与で維持した。なお術後2週間以降で自己腎摘出後は0.04mg/kg/日で維持する。 4.保存腎同種移植成績:非保存陣腎移植および3)併用では、平均生着日数、59.3±1O.O日(n=4),に比し、2)、3)法では、58.6±29.6日(n=5)とほぼ同等であった。なお、従来の冷生食水ガ-ゼ等による保護では再潅流障害が激しく、いずれも無処置群でわずかに4日間の生着で著しい出血壊死による機能不全を発現、FK506を併用しても効果は全くみられなかった。 以上、本年度は、donar、recipient間の組織適合度を一定にしたpairsを用いて、3日間の保存腎の移植で保腎時を移植する温阻血時間にゴム製の密着冷却装置にて冷却することにより、術後FK506を上記の投与法を併用することにより、効果的に機能させることができた。現在、腎保存3日間の期間にrecipirntへの全リンパ組織照射(150vad、3日間、計450vads)処置、および腎donorからの分画骨髄移植の併用効果を検索中である。
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