動物熱傷モデルにおける早期熱傷創切除およびシクロオキシゲネースインヒビターの血中IL-8、エイコサノイド(トロンボキサンTxB2、6ketoプロスタグランディンPGF1α)、活性酸素産物(malondialde-hyde:MDA)への影響を検討した。 [対象と方法] 300-350gのSpraugue Dowleyラット背部に30%III度熱傷を作製、直後に10ml/kgの生食水とともにアスピリン0mg/kg(I群、n=6)、50mg/kg(II群、n=6)、100mg/kg(III群、n=8)、200mg/kg(IV群、n=10)を腹腔内投与、1/2のラットでは薬剤投与直後に熱傷創を切除した。2時間後に心臓採血しIL-8(ELISA)、TxB2、6ketoPGF1α(RIA)、MDA(TBA法)の血中レベルを測定した。また温水熱傷2時間後の各測定値(n=5)をコントロール値とした。 [結果] IL-8(ng/ml)はIa(非切除)群1.54±0.62(control値0.63±0.29)、Ib(切除)群2.05±1.00、IIa 0.73、IIb0.96、IIIa1.15±0.65、IIIb0.38±0.39、IVa0.94±0.61、IVb0.87±0.30、TxB2(pg/ml)はIa17500(710±485)、Ib6950、IIa811±1116、IIb196±249、IIIa511±860、IIIb77±21、IVa368±461、IVb162±182、6ketoPGF1α(pg/ml)はIa510±198、(136±86)、Ib515±120、IIa559±766、IIb106±134、IIIa175±284、IIIb34±7、IVa142±208、IVb53±31、MDA(nmol/ml)はIa2.7±0.4(2.0±0.1)、Ib2.8±0.7、IIa1.9±0、IIb1.9±0.3、IIIa1.7±0.2、IIIb2.4±0.2、IVa1.6±0.1、IVb1.7±0.2であり、いずれもはアスピリン投与群で低下した。とくにTxB2は投与量依存的に低下、熱傷創切除群で有意に低下した(p<0.001)。TxB2/6ketoPGF1α比はIa27.5(5.5±1.6)、Ib15.5、IIa1.4±0.1、IIb1.7±0.4、IIIa9.6±13.6、IIIb2.2±0.1、IVa2.9±1.6、IVb2.5±2.0でアスピリン50mg/kg投与群で最も低値で、この群を除き焼痂皮切除群で低値であった。 [結語] 焼痂皮切除は血管収縮、血小板凝集に関与するTxB2を低下、アスピリン50mg/kg投与はTxB2と血管拡張、血小板凝集抑制に関与する6ketoPGF1αとの比を低下、熱傷創の微小循環維持に有用と考えられた。
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