研究課題/領域番号 |
04670751
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
新井 一成 昭和大学, 医学部, 講師 (50129805)
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研究分担者 |
上地 一平 昭和大学, 医学部, 助手
鈴木 恵史 昭和大学, 医学部, 助手 (60216380)
福島 元彦 昭和大学, 医学部, 助手 (50238474)
小口 勝司 昭和大学, 医学部, 教授 (50129821)
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キーワード | ハイパーサーミア / 高周波誘導加温 / リポソーム |
研究概要 |
癌温熱療法とは癌の集学的治療の一つとして注目されているが、わが国ではRF波誘電加温症例が大多数を占めている。しかし、腫瘍の選択的加温は未だ困難とされている。一方、高周波誘導加温は強磁性体を投与し、腫瘍内に取り込ませ加温することにより、腫瘍のより選択的な加温が可能となるとされているが、至適加温法については確立されていない。本研究では腫瘍の選択的加温法の開発を目的に、強磁性体である四三酸化鉄(Fe_3O_4)微粒子を、免疫原性および毒性がないと考えられるリポソームの脂質分子膜で覆い、さらに腫瘍親和性物質であるヘマトポルフィリンを結合させたリポソーム性強磁性体微粒子(HP-LM)を作製し、腫瘍内に取り込ませ、高周波誘導加温を施行し、その有用性につき検討を加えた。 平成4年度の研究では、家兎加温実験においては、家兎下腿部にVX-2腫瘍細胞を移植し、腫瘍径が3cmとなった時点で、大腿動脈よりカテーテルを腫瘍栄養血管近傍まで挿入し、HP-LMを投与し、高周波誘導加温を施行した。ところ、1回動注群、2回動注群ともに、非投与群に対し、腫瘍内温度が有意に上昇し、腫瘍の縮小も認められた。しかし、2回動注群のほうが2週間後においても腫瘍内温度上昇率が著明に上昇しており、長期におよぶ加温には、HP-LMを腫瘍組織内に、維持すべく反復投与が必要であり2週間ごとのHP-LM反復投与がより有効な加温効果をもたらすと考えられた。以上より、反復投与をより容易に施行するために動注用リザーバーを留置し反復投与を施行したところ、腫瘍栄養血管を損傷することなくHP-LM反復投与が可能となり、良好な腫瘍内温度上昇が得られ、効果的な腫瘍増殖抑制が認められた。
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