ヒト型モノクローナル抗体の作製は、胆管癌患者あるいは健康成人リンパ球を移植したSCID-huマウスに、同種の胆管癌細胞株(TFK-1)により反復刺激しリンパ球を採取し、EVウイルスにてトランスフォームさせた後、B cell lineと細胞癒合にてhybridomaを作製した。現在のところ、TFK-1と強く反応するhybridomaが得れず、ターゲッティングには不向きのため、hybridomaのクローニングを継続中である。 使用に耐えるヒト型モノクローナル抗体を得るには、数度の限界希釈法によるクローニングとcharacterizationが必要であるので、まずbispecific抗体の効果について、予備実験的に肝細胞癌株に対するモノクローナル抗体(L-7-6)を用いて、in vitro、in vivoに於いて検討した。bispecific抗体はL-7-6x抗CD3抗体とL-7-6x抗CD16抗体を作製し、LAK細胞は健康成人より採血し、比重遠心法にて単核球を分離後、ヒトrlL-2100U/ml存在下にて抗CD3抗体で48時間刺激し作製した。結果であるが、in vitroに於いてLAK細胞は、bispecific抗体無添加群に於いてはほとんど細胞傷害活性を示さなかったのに対し、bispecific抗体0.1μm/mlの微量存在下にてE/T ratio0.3〜4で、肝細胞癌株(HT-17、Li-7)に対し20〜80%の細胞傷害活性を示し、bispecific抗体が著明に抗腫瘍効果を増強することが明らかとなった。また、in vivoのWinn'n assayにて、bispecific抗体添加群の腫瘍増殖が、LAK単独群あるいは無治療群と比較し遅延する傾向が認められ、現在腫瘍坦癌マウスの治療モデルを作製し追加実験中である。
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