研究課題/領域番号 |
04670758
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
奥山 和明 千葉大学, 医学部, 講師 (00152439)
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研究分担者 |
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
粟野 友太 千葉大学, 医学部, 助手 (00241951)
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キーワード | 肝転移 / 動注療法 / 肝動注カテーテル / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
転移性肝癌症例を対象に、肝動脈内に挿入留置したカテーテルからモノクローナル抗体等を投与し、癌に対する縮小効果や無再発期間の延長を期待する研究の今年度までの実績概要を報告する。 1.基礎的研究:肝動注カテーテルから注入すべき抗体の特性を検討した。ヒト型モノクローナル抗体4G12を^<125>Iで標識して、Cell-binding assayを行い標識後も癌に対するactivityを有することを確認した。そこで、ヒト食道癌を背部皮下に移植したヌードマウスに^<125>I-4G12を静注し血中クリアランスを検討すると、投与48時間後以降で十分排泄されることが判明した。また、^<125>I-4G12の臓器別分布を検討すると、腫瘍血液比は投与後漸増し、投与120時間後で最高値4.24±0.19に達した。他の臓器の血液比は腎で軽度上昇した他はすべて1以下であり、4G12抗体の腫瘍に対する特異性を認めた。さらに、シンチグラフィーを行うと投与後96時間で腫瘍の描出を得た。これらの結果により、臨床応用に最適な条件を検討し得た。また、Proliferating cell nuclear antigenの免疫組織化学的な検出により、腫瘍の増殖活性の検討も併せて検討した。 2.臨床的研究:動注療法を施行すべき時期、最適なregimenについて大腸癌肝転移例65例を対象に検討した。残肝再発率では、無治療群100%、術後動注群58.6%、術前動注術後化療群46.7%に対し、術前術後動注群では残肝再発を認めておらず良好な成績であった。転移巣の大きさでは直径8cm未満の場合、上記の順で残肝再発率が低下していた。そこで、さらなる成績向上を目的として抗癌剤のみならず、モノクローナル抗体をも肝動注カテーテルから注入すべく、症例を選択、検討していたが、病態の急変や患者の拒否などにより、延期または中止せざるを得ない状況であり、今後さらに積極的に臨床応用を行う所存である。以上、今年度の実施結果を報告した。
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